すずしんろぐ

ジャック・ゴー・ランタン

雑記を書きつつ、精神的に弱い人や、不器用な人の支えになれるようなブログを目指しています。

家族八景(筒井康隆 著)を読んだ。

最近仕事が忙しくて、本を読むにしても実用書ばかりで、大好きな小説を読む時間が少なかった。

 

仕事も落ち着き、久しぶりに小説を読みたくなったので、同じ会社に居る先輩におすすめの小説を聞いてみると勧めてくれたのが、

筒井康隆さんが書いた家族八景という小説だった。

 

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簡単なあらすじを説明すると、

人の心を読むことの出来るテレパシー能力を持った主人公の女性が、

家政婦として色々な家庭の闇を見ていく話だ。

 

読んだ感想だけど、

非常に面白かった!

とても40年前に書かれた小説とは思えないぐらいのめり込んだ。

 

主人公はテレパシー能力を持った家政婦

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主人公である七瀬(ななせ)はテレパシーの能力を持ってるが故の苦しみを色々と持っている。

人間というのは、そんなにキレイな考えばかりを持っている訳ではなく、どんなに善良そうな人間でも心の中は独善的で自己中心的で他人をあざけ笑って見下しているような部分がある。

 

七瀬はそういった人間の感情も目で見るように全てが分かってしまう。

 

家族八景というタイトルの名の通り、この小説は章ごとによって、家庭が変わり、その度に七瀬は夫婦同士が表面上はにこやかに食卓で向かい合っていても、心のなかでは相手を罵り合っている夫婦を見ることになる。

 

時には七瀬の美しさから、身勝手な性欲を脳内で展開する下劣な男たちも居る。

(というか物語通して、そんな男ばかりだった)

 

心の中は誰にも見られないから素の自分が居ると思います。

でも、七瀬にはそれが全て見えている。

 

僕はこれを読んで、「もし自分の脳内や考えていることがバレてしまったら?」と考えると中々恐ろしくなりました。

 

人間ですから人には言えないような事を考えている瞬間がありますから、それを曝け出されて、しかも隠しようが無いと知ってしまったら、パニックになるかも知れません。

 

事実、物語に出てくる男で七瀬に対して、性的暴行を加えようとした男は七瀬の能力によって心の醜い部分をズバズバと言い当てられ続けてしまい、発狂してしまいます。

 

8家族もあれば多少は救いようのある家族が出てくるのかなとも思いましたが、そんな事はありませんでした。

 

どの家族にも独善的で「自分こそが正しく相手が間違っている」と考え続けているような人間で、その中で浅ましく生きているような人間が大半でした。

 

だからこそ、面白かったんだと思います。そういう人間の汚い部分にスポットを当てて、脳内の声が文章として見れる小説というものを余り見たことが無かったので、夢中になって読めました。

 

この「心の声が文章として表されている」なんですけれど、それによって書き方が面白いなとも思いました。

 

と言うのも、作者が語っているような第三者のような語り口でも無く、主人公が相手の事を「想像して」語っている文章でも無く、本当に相手の言葉がとめどなく流れているのをそのまま文章として表しているので、第三者目線と客観のちょうど間ぐらいの表現方法で非常に面白かったです。

 

自分がテレパシー能力を持っていたら?

僕は結構、人目を気にしてしまう性格で、相手が何を考えているのか非常に気になってしまうタイプです。

友人が何を考えているのか?や、上司が何を考えているのか?とか嫌われているのかな?や怒っているのかな?などを常にビクビクしながら考えてしまうような所があります。

 

だからもしテレパシー能力があれば、その人が本当に考えていることが分かり、非常に楽になりそうだなぁとは思います。

 

僕のように人の目を気にする性格の方には分かってもらえるかも知れませんが、人目を気にするのって疲れるんですよね。

相手が怒っていないか、楽しんでいるかを常に考えて喋らないと駄目だし、色々な事を考えると精神的に疲れてくるんです。

意外とそういう時に限って本人は何も気にしてなかったりするし…。

 

なのでいっその事テレパシー能力を持っていれば「本当の気持ち」がハッキリするので今よりは楽になると思います。

 

まぁこれも隣の芝生で実際にそんな能力を持ってしまったらテレパシスト特有の苦しみを味わうと思いますが。

 

また次の新しい本の感想も書きます。ではでは。